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●饕餮文 とうてつもん

アジア 中華人民共和国 AD 

 殷周時代の青銅器面などに施されている獣面文の代表的な文様。とくに酒器・食器などの祭器によくみられるが,殷代の土器や玉器にも類似の文様が施されている。実在,空想の動物を合成した怪獣の顔面を抽象的に誇張し,大きな眼に重点をおいているのが特徴である。この文様がもつ霊力により,災禍を及ぼす恐ろしい魔力を追いはらうために,祭器に施されたといわれている。新石器時代の江淮地域の良渚文化で,祭祀に用いられて権威の象徴となっていた玉璧・玉ソウ※注1※には,獣面文が施されており,この玉の文化が殷に吸収されて,祭器などに饕餮文などの獣面文様が流行したものであろう。饕餮文は,殿代において,しだいに顔面と両眼の誇張が極端になる。殷から西周にかけて,獣面文は平面的なものから立体的に移行し,さらに青銅器の器形自体が,怪獣や怪鳥の形になる。西周の中期以降,獣面文は装飾の主流から退いていく。

〔参考文献〕伊藤道治『図説中国の歴史1』1976,講談社

文物編集委員会編『中国考古学三十年』1981,平凡社

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