●東大寺三月堂執金剛神像 とうだいじさんがつどうしゅこんごうしんぞう
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法華堂の塑像群のなかでもっともすばらしいのは,なんといっても秘仏として北面を向いて安置されている執金剛神である。良弁僧正の念持仏であるともいわれ,忿怒の形相をそなえ,右の手に電光を表す金剛杵をもって,教義上では,仏法を護持する国王のために,それを破ろうとする修羅の軍を打ち負かす神通力をもっている神を表しているのだといわれている。外敵に対して金剛杵を今にも投げようとする姿は,生きているようなすばらしさをそなえ,天平写実の粋であるといえる。カッと見開いた両眼には黒曜石がはめこまれ,雄叫びする口もと,また武具に施された極彩色の文様には色と色の間をぼかす方法を用い,朱・緑青・群青・紺青・岱赭(たいしゃ)など用いて宝相華や唐草模様がふんだんに取り入れられている。そのうえ,この像は多年秘仏であった関係上,色彩があざやかに残っていて天平盛時の文化の姿がうかがえ,正倉院の文物とも共通したものをもっている。〔参考文献〕奈良六大寺大観刊行会『東大寺』1968,岩波書店