●同族団 どうぞくだん
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わが国の各地町村にみられる本家・分家の関係の家の結合集団のこと。“同族”ということばは学術用語で,地方ごとにそれぞれ違った呼称がある。まき・まけ・ばっかなかま・じるい・あいじ・じわかれ・おやこまき・いっけ・うちわなどと多種多様で,その集団の形態や社会的機能も少しずつ差異がある。また,これらの集団は本家・分家の枠に必ずしも限定されず,血縁仲間とか親族集団をさしている場合もある。いずれにしても家と家との間の系譜関係,あるいは主従関係によって結合し,たがいに社会生活を円滑に営むために連帯する家々の連合体,これを同族団と呼ぶのが一般化している。都市における商店でも“暖簾内”などと称して,本店・支店の結合をはかっているものがあるが,これも同族団の一種とみられる。【同族団の社会的機能】同族団の機能はきわめて多様である。葬儀や婚礼,その他日常生活面のことでも立ち入って相談し合い,同族の親神を共祭し,正月や盆には本家に集まって一統の親睦と交宜を深める。また家族の進退,就職などでもたがいに相談し,事前の了解を得るように努めている。だが,生活の経済面で成員が金銭的に助け合うことはほとんどなく,農作業も各戸が独自に行い,よほど人手不足の家がない限り共同で行うことはない。ただし,田植えのときだけ儀礼的・交諠的に全員が集まって作業する地域が,わずかながら残っている。以上のような連帯関係も同族団一般現状の傾向としてかなり弱まってきており,やがては消滅するのではないかと思われる。
【同族関係の特性】本家・分家を同族関係として結びつけているものの本質については、研究者のあいだにもいろいろの見解があって必ずしも一致しない。常識的には親類の構造原理と同じように考えたり,あるいは父系の血縁関係の一種と解釈されたりしもする。しかし精緻に考察すればわかるように,そこには血縁という個的関係だけでは通用しにくい,結婚や養子縁組によって包みこまれた非血縁者も含む家の関係がみえてくる。一般に姻戚関係の家は排除され,血縁の親疎にかかわりなく特定の家と家同士で結合し合っていることなどを考えると,どうしても親族関係とは別の構造のように思われる。したがって同族関係の本質は,家の成立の契機にあるとみていいだろう。一方,分家創立の契機にはいくつもの条件が考えられる。しかし,それらをすべて考慮してもなお,本家・分家の関係は血縁関係を欠いても成立することがわかる。これらの面から,同族関係は家の成立事情にもとづく系譜的関係を主柱としていると解されるのである。
【血縁重視の家関係】かつては同族団の連帯・協力活動は広範な諸相で緊密に行われたものと思われる。その際の本家は同族団の中心的権威として,政治的経済的にも強い指導力を発揮し,相対的に分家の独立性は微弱なものであった。だが,時代の進展と社会構造の変化,庶民の生活意識の進化につれて,同族団の社会的集団機能は作用しにくくなり,反対に分家の独立性は自然に高められていった。同族団の機能はいよいよ退嬰化し,わずかに儀礼的・交道的な交際と伝統的な慣行で持続されている現状で,この傾向はさらに進行するものと考えられる。今後は同族団とは異なる親方・子方の結合が顕著になるだろうし,同族結合を可能にしてきた血縁抜きの家と家との関係が緩めば,個人の婚姻関係を通じて生成する姻戚関係が強まってくる。そうなると家と家との関係でも血縁の近い者が重視され,姻戚を含んだ近親の親族関係が力をもつようになる。今日では,同族ということばに姻戚関係も含めて使っている地方が多いが,両者をはっきり区別している地方もまだある。商家の“暖簾内”に似た形態の同族団は,都市の他業種の町家のあいだにもみられたが,しかし近代の都市生活ではこのような集団の存在理由が失せている。したがって,こうした集団自体もほとんど消滅したものの,農村部にはかなり存続している。