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●投石器 とうせきき

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 個人が手で使用し,狩猟や闘争の武器として用いる投石具と,中世ヨーロッパなどで城を攻めるにあたって用いられた投石機とがある。それぞれ鉄砲や大砲の発想の源になったと考えてまちがいなさそうである。投石具は,動く獲物を捕えるためや,闘争における武器として,古代から広く世界中に存在した。2メートルくらいの組紐や皮紐の幅広くした中心に石をつつみこんで,ひもの両端をいっしょに片手でつかみ,頭の上で振り回しつつ,ひもの片方の端をはなすと,石が飛び出し,獲物にあたるという仕組みである。

 昔,古代ギリシアやローマにおいて武器として使用されたという。また南米や北米のインディアンのあいだにも広範に存在した。さらに太平洋東半・ハワイ・ニュージーランド・イースター島を結ぶ三角形内の島々を含む地域,ポリネシアにもみられる。

 いま現在でも,オリエントやチベットの諸民族のあいだには,狩猟具や玩具として残されている。またヒマラヤ山脈の中部を占めるネパールでは,約2メートル30センチの投石具が,悪魔を石に封じこめて捨てるという宗教儀礼のために用いられている。

 南アメリカのボリビアとパラグアイ間のチャコ地方に住むチャコ族のあいだには,弓で石を飛ばす投石具=石弓がある。どういう仕掛けかというと,2本の弦の中央部に石を支えるところをつくって,弦の張力でもって石を遠くへはじき飛ばすものである。

 古代中国においても,狩猟や戦争のために,このような石弓を用いたことが記録などによって伝えられている。日本においても,石弓は使用されている。日本の石弓は,奈良時代の『日本書紀』,平安時代の『令義解』などに,抛・抛石などの文字で表されている。

 なお“”の字を“いしゆみ”と読んで,ふつう石弓と同じものと混同されているが,矢を発射すると,石弓とは本来別個の器具である。

 また,中世ヨーロッパで攻城兵器として使われた投石機も,テコの原理が応用されたものであった。つまり,支柱の上に,一端がスプーン状になった横木をつける。その横木の,スプーン状になった端とは反対側の先に,錘を入れる容器をつくりつける。そこに錘を入れてから,スプーン状になった端にくくりつけた綱を下のウィンチで巻きとる。そうすると,錘が高くもちあげられ,スプーン状になった端が下にさがる。そのスプーン状になったところに石を入れる。そして綱をいっきにはなすと,石が遠方へとはじき飛ばされる,といった仕掛けになっている。

 中世ヨーロッパでは,鉄砲の時代に入ってからも,半世紀ほどこの投石機が併用されていたという。