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●湯治 とうじ

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 温泉に恵まれている日本では,湯治は古代以来の重要な厚生の機会であった。知られた湯治場としては,道後(愛媛),有馬(兵庫)その他数多くある。湯治にはその目的によって,(1)特定の病気治療のためのもの,(2)一般的な静養または慰安的なものとがある。(1)の好例は群馬県草津温泉で,その強酸性によって皮膚病に卓効があり,ハンセン氏病の療養所もここにあった。民謡の湯もみ唄も湯治の過程で発生したものである。同県利根郡では“脚気川場(温泉)に瘡老神(温泉)”と効能を区別していた。(2)でも,湯治の一般習俗をみることができる。農家では,農繁期前に英気を養っておく習慣があったし,商家その他でも小閑を利用して湯治場に出かけた。多くは食糧を持参し自炊を原則としたが,米を出して炊いてもらう場合もあった。そのとき草津では,1日2回,コナガラという2.5合ますで出した。7日を1メグリといい湯治の単位となった。その間,ツボという部屋を借りていた。