●峠 とうげ
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山並のなかの,峰と峰とのあいだの低い部分(鞍部)で,山越えの道が通じているところをいう。単に自然がなす景観ではなく,人為的な交通路の一部である。その語源は“たわごえ”が転化したものとする説が有力である。鞍部のことを,古語で“たわ”といい,“たわを越える”意からきたとされている。峠には表と裏があるといわれ,最初に道を開いて登った側が表・越えて下った側が裏とされている。表の道は急であるが短く,裏の道は緩やかだが長い。“たわ”へ至る坂が急峻なのだが,かかるところに道が開かれたのは,もっぱら徒歩によった時代においては勾配の緩急よりも,距離の短縮をはかることが優先されたからである。下りが緩やかな経路を選んだのは,一気に下ると目標を見失い迷う危険があったからである。峠は多く境目であり,たがいにその先は異郷の地であった。ここに神を祀り邪悪なものの侵入を防ぎ,旅の安全を祈ったのである。