50音順    検 索

●童戯 どうぎ

AD 

 子供の遊びという意味で,童戯ということばが使われているが,内容を考えてみると遊びとはいいながら,もっと異なったものがあると考えられる。民俗学においては語彙を通じて子供の遊びをとらえ,これを成長段階によって分類している。そのおおよそは次のようである。

 (1)口遊び(くちあそび):ようやく親の手を離れたころの子供が,一人で遊んでいるときに,意識することなしに,思わず口に出ることばに口遊びがある。このことばはいつとなく子供らのあいだに伝わって来たもので,その対象となるのは動植物や天象などの自然物が多かった。その対象となるものと,子供のあいだであるから,自然に呼びかけることばが主となり,少し長いことばになると自然のリズムが生まれている。しかしそれはあくまでも意識してつくられたものではないことはもちろんである。たとえば〈夕焼け

小焼け あした天気になあれ〉とが,〈お月様いくつ 十三七つ〉などがそれである。のちに大人がこのようなリズムを利用してメロディーをつくりあげることは,再々行われている。また,祖父母など老人の膝で覚える指遊びや顔遊びのうたもこのなかに入る。〈あぁがり目 さぁがり目ぐるっとまわって ねぇこの目〉とか,また〈子どもと子どもとけんかしてくすりやさんが止めたれどなかなかなかなか やめないで人たち出て来て止めたれどなかなかなかなか やめないで親が出て来て止まった〉という二つのうたなどは,たいていは親や老人とのふれあいのなかで覚えるものであった。また,もう少し成長した時代においても,仲間や遊び相手の動植物を対象としてことばがある。〈おがめ おがめ おがまんと殺す〉おがめというのははかまきりのことである。また〈こうもり来いじょうりやるに〉といううたは,夕方こうもりのとぶころ,ぞうりを投げ上げてうたうものである。

 (2)軒遊び(のきあそび):子供たちがいちおう,親や成人の膝もとは離れるが,かといって道路や原っぱまでは行けない,いわば家の縁側や軒下で遊ぶ時代で,これには前の口遊びの時代からひき続くものも多いが身体の成長に伴って活動的な遊びが多くなる。概して男児のほうが早く仲間との遊びに出て行くが,大体この時代から,男の子と女の子との遊びに区別ができていく。また,遊びの種数としても,穴一(あないち)や石けり・お手玉・あやとり・おはじき・ままごと・すもうなど,その数は急に多くなる。またそれに伴って遊びに使う道具も,羽根羽子板・まり・お手玉・おはじきなど数が多くなり,こういう玩具は最初はほとんどが自家製とか,自然物の利用などであったが,だんだんと社会がすすんで市場に出るものも多くなって,氏神まつりの露店などに出はじめ,子供にとって年一度の祭りの際の楽しみとなっていく。

 (3)外遊び(そとあそび):軒遊びの次の段階としては,さらにもっと広い場に出て,遊びの構成も大きくなり参加人数も多い,外遊びの年齢となる。外遊びはほぼ二つの時代に分けて考えられる。前記はこままわし・ぞうりかくし・ぶらんこ・ぱちんこ(割り竹の先に小石をはさみ,竹を振って石をとばし,鳥などを打つ方法)などで,以上のものは長い生命をもって子供の遊びのなかに生きている。そのあとのほうは,鬼遊びに代表されるので,遠い宗教的起源をもち,のちのちも子供自身で改良工夫が加えられて今日に及び,条件は変わっても変わらない人気をもった遊びである。この類に属するものにはネッキ・ジックイと称して尖った棒を柔らかい地に打ちこむ遊び・ハマというまるい木片を打ち合うもの・綱引き・相撲などがある。相撲はもともとは宗教的信仰的な年占や卜占などに用いたが,現在では周知のように国内のみならず世界的にも人気を博している。綱引きは年中行事として国内の各地に行われている。このように社会的な行事となると,またもう一度子供の世界に流行をもたらしている。

01