●桃花扇 とうかせん
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清初の1699年(康煕38)に成った戯曲。作者は孔尚任(1648〜1718),山東曲阜の人,孔子64世の孫。崑曲がすでに衰退に向かいつつあるなかで,中国古典戯曲の掉尾を飾ったのが洪昇の長生殿とこの桃花扇である。崑曲,広くいって南戯は形式的に自由化され,さらに作者が士大夫となっていったことから,長編で波瀾万丈の筋,内容は才子佳人の悲歓離合,見て聞くための虚構というよりは史伝的読み物“伝奇”となるのだが,桃花扇ももとよりこれらの特徴を帯びている。すなわち,“実事実人”の長編史劇であり,明朝の滅亡を背景に名家の子弟,文人結社の名士侯方域と南京秦淮の名妓李香君の悲歓離合を描いているのである。ただし,南戯はとかく作品の緊張を欠き,主題を見失ったり,荒唐無稽に陥ったりして堕落していったのであるが,桃花扇はよく史実と2人の悲恋を一貫した筋運びのなかに織り込み,曲終わってなお悲哀を漂わせる傑作となっている。