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●天領 てんりょう

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 江戸幕府の直轄領の俗称。正しくは御代官所,御料所,また公領(公料),公儀御料所と称した。天領は徳川氏の蔵入地が,1603年(慶長8)幕府開設後全国的に拡大されてからの直轄支配の領地をいい,幕末の天朝御領(御料)を略して称した。天領は慶長末年に約230万石,元禄年間には約400万石以上となり,全国68カ国のうち47カ国に分布した。天領は流動的で大名の改易・転封の打出分,新大名・旗本の創設の所領に当てられ石高も固定してはいなかった。一般に関東・東海・畿内を中心に北陸・奥羽に多く,財政・政治・交通・軍事上の要地に設けられ年貢の基幹をなす米や商品作物の生産地域・都市港湾や鉱山・山林地帯などを対象に設置した。1730年(享保15)には代官(郡代)支配地360万石,大名預所74万石,遠国奉行13万石に分けられていた。天領の総額は1744年(延享1)の463万石を最高に漸次減少しているが,幕末まで年貢米・金は幕府財政の基礎をなしていた。

〔参考文献〕北島正元『江戸幕府の権力構造』1964,岩波書店

村上直『天領』1965,人物往来社