●ディンカ族 ディンカぞく
AD
アフリカ,スーダン南部のナイル川上流の湿潤地帯に居住するナイロート系の牧畜民。人口は約80万人。生業は牛の牧畜とモロコシ・トウモロコシの栽培だが,雨季と乾季の変わり目には漁労も行う。近隣部族のヌアー族のように遠隔地域への移牧は行わず,村の近くでの放牧によって牛を飼育している。ヌアー族から牛と捕虜略奪を目的とする襲撃をしばしば受けた。ディンカにはその領土を所有する父系血縁集団(氏族)がおり,その成員と彼らの姻族や母系親族などのほか氏族成員とで地域社会が構成される。各氏族では,宗教的指導者である“漁槍の首長”が選出され,地域社会の核となる氏族と,それより人数の上でははるかに多い戦士の氏族とに大別される。各地域社会は,一人の漁槍首長のもとに統合されていて,比較的小規模に分裂しやすい傾向をもち独立性も強く,ヌアー族のように分節体系によって大同して戦うことはなかった。