●ディーナール
アジア アジア AD
イスラーム世界の金貨。ビザンツ帝国のコンスタンティヌス帝以降,金貨ソリダスと同義語となった銀貨を示すラテン語,ギリシア語デナリウスを語源とする。691〜692年にダマスカスで初めて金貨が鋳造されて以来,最初期のものは皇帝ヘラクリウスやカリフの象が刻まれていたが,7世紀末の貨幣改革以降はアラビア文字による銘文だけとなった。重量はビザンティンのソリダスが4.55gであるのに対し,改革以降のディーナールは4.25gで,これは10世紀までイスラーム世界の金貨の基準であった。金の純度は96〜98%で,とくにエジプトのトゥールーン朝のディーナール,ファーティマ朝のアル=アーミル・ディーナール,などの純度は高かった。10世紀以降,イスラーム世界内での金の供給量が減少したため,ディーナールの鋳造はしだいに減少した。残っていたエジプトでも,14世紀以降,鋳造が減少し,のちに消滅した。