●釣 つり
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釣は,釣糸の先端に釣鈎をしばり,餌または擬餌などを用いて,魚類をはじめとする水棲動物をさそい,釣鈎にかけて漁獲する漁法の1種である。こうした“釣”の行為は趣味・娯楽のたぐいとして行われる,いわゆるレクリエーションとしての“遊漁”もあるが,“職漁”として,漁業生産活動に従事し,生業(なりわい)の主要な部分として暮らす人々のいとなみを“釣漁業”という。釣漁業は,魚が多く群れていても,その場所が岩礁地帯で,網漁具を使用して魚を捕獲することができないような場合には有効であるし,また,水深の深い場所に生息する魚種をめあてに捕獲しようとする場合などは,釣漁による捕獲が可能かつ有効であるなどの利点をもつ。こうした,釣漁法を行うための漁具には,釣鈎・釣糸・沈子(しずみ,錘)・浮子(うき)・竿・餌(擬餌)などが必要となり,これらを“六物(りくもつ)”と呼んでいたこともあるが,釣具は職漁・遊漁を問わず,漁獲対象物や各地の伝統的な漁法により,その組み合わせかたは実に多様である。だが,こうした釣漁業も,漁具・漁法を主軸として類型化し,それを分類することはできる。直接的な釣漁業と間接的な釣漁業の区別がそれである。直接的な釣漁業には,(1)手釣漁業(2)竿釣漁業があり,間接的な釣漁業には,(3)曳縄釣漁業(4)立縄釣漁業(5)横縄(はえなわ)釣漁業があり,近年はこれに(6)機械釣漁業が加わり,釣漁業全体では6種類の分類が行われている。さらに,原始的ともいえる釣漁を含めれば,その数はさらに増える。手釣漁業というのは,釣糸の一方を手に直接もって行う漁法で,この漁法は漁船で沖合いにでて,比較的深い場所で行う釣漁である。釣漁業そのものが,小規模な家族的経営によって営まれるばかりか,簡単な漁具を用いるだけで資本を要しないため,全国各地の漁村で最も一般的に行われてきた漁業生産の方法である。そうしたなかでも,とくにこの“手釣漁業”は,小規模なものである。また,能率の悪い漁法でもあるから,高級魚を対象とするのが普通で,魚種は,タイ・ヒラメ・カレイ・スズキ・ブリなどが主であることが多い。だが,そのほかにも,イカ・タコ・イサキ・メバルなどもこの漁法により漁獲されてきた。竿釣漁業とは,釣竿の先端に釣糸をつけ,直接,人が手で釣竿を操作する釣である。竿の使用は魚を釣る際に,釣鈎にかかる魚の動きや衝撃をやわらげるクッションの役目を果たすとともに,釣鈎から魚がはずれること,釣糸の切断を防止することなどに役立つ。この竿釣漁法には陸釣と船釣との別がある。一般に遊漁としての“釣”は陸釣が多く,よく知られているが,最近は漁業者が遊漁者を対象として生業をたてる傾向がでてきたため,船釣の遊漁も増加の傾向にある。しかし,漁業としては船釣が主である。カツオ一本釣・サバのハネ釣などはその代表といえる。曳縄釣漁業は,漁船から直接,釣糸を伸ばすか,あるいは釣竿を船上に立てて,その先端に釣糸をつけるかして,船を曳き回して釣漁を行う。トロ−リングの名で呼ばれる。対象魚は大型魚種のサワラ・シイラ・ブリ・カジキ・マグロなど。立縄釣漁業は,手釣漁業に共通する点が多い。ただ,立縄釣漁業は必ずしも釣人を直接必要としないこともある。船上において釣糸の一端を固定するか,海面上に浮樽などの浮子につけた釣糸を垂直に伸ばし,いずれも立縄に数本あるいは十数本の枝糸を出して釣鈎をしかける。宮崎県のタイ釣し釣漁は有名である。横縄(はえなわ)釣漁業は,“長縄”とも呼ばれ,横に伸ばした幹縄に多数の枝縄(枝糸)をつけ,枝縄の先端に釣鈎等をつけて魚をつる漁法。カツオやマグロの延縄などがこれである。機械釣漁業は近年になって考案されたものである。多くの乗組員を必要としたカツオ釣やイカ釣が機械化され,能率的な釣が実用化されるようになった。日本では戦後,都道府県などで内水面委員会・外水面委員会を法定し,漁業者だけでなく釣人の利益もあわせ魚族保護の方法も考えている。