●直営地 ちょくえいち
ヨーロッパ ヨーロッパ AD
ヨーロッパの古典荘園は,領主の直接経営になる部分と保有農の家族経営に任せられる部分から成っていたが,前者を直営地,後者を保有地ないし託営地と称する。直営地には,領主または荘司(荘園役人)の屋敷とそれに付随する果樹園・菜園・採草地などのほか,屋敷外に耕地・放牧地・森林などが存在した。耕地は,開放耕地制のもとで,農民保有地の中に地条として散在していた。全耕地面積に占めるその割合は,荘園により時代により一定しないが,ほぼ3分の1程度であった。直営地の耕作は,ふつう領主の給養奴隷によってなされたが,農繁期には保有農の賦役にも依存した。初期には,領主が先進的農業技術を独占的に採用したため,直営地の生産力が高かったが,12〜13世紀になると農業技術も一般化し,集村化が著しくなったため,領主は直営地を縮小して地代収入に頼り,自らは一円的領主権の確立をめざすようになった。こうして古典荘園は崩壊した。