●調味料 ちょうみりょう
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日本で調味料というと,ふつう塩や砂糖・味噌・醤油などを思いうかべるが,世界的にみると,さまざまなものが調味料として用いられており,その歴史も調理の歴史とともに古い。料理に欠かせぬ調味料は,料理ばかりでなく,人類の食文化を考える上でも重要な問題である。【調味料の種類と分類】醤油・魚醤・カレーなど,それだけを食べることはなく,かつほとんどどんな料理にも使われる万能の複合調味料といったものは,アジア特有のもので,ほかの地域ではこれに相当するものがなく,各料理に合わせた調味料が使われている。したがって広義の調味料には,アジアの商品化された複合調味料のほか,油脂・香辛料・だし・ソース・ドレッシング・酒・乳製品なども含まれる。
調味料を味で分類する場合,鹹味(塩・醤油),甘味(砂糖・みりん・ハチミツ),酸味(酢・レモン),苦味(ホップ)の4味がよくあげられるが,実際にはこの中間の味が多数存在する。味そのものは人間の舌が識別可能な分だけ,すなわち細分化していけばほぼ無数に存在するが,そのなかから好ましい味のものを,われわれは調味料として用いているわけである。しかし限られた味でも,複数の味の配合により,やはり無限の味つけが可能である。そしてこうした調味料の選択や配合の仕方は,各地の自然環境や文化によって大きく異なっている。一方,人類の歴史を巨視的にみれば,われわれはよりうまい味を求め続け,今日の味覚の体系を築いてきたといえよう。
調味料の目的はもちろん,飲食物に味付けし,おいしくするためであるが,このほか塩のように防腐や材料を柔らかくしたり,ゼリー化の促進やつや出しなどのためにも用いられることがある。調味科を塩や酢・スパルタなどに限れば,その素材にも限りがあるが,広義の調味料はそれだけでも食べることのあるものも含んでいるため,素材は,肉類や乳製品からさまざまな植物まで広範囲にわたる。製法では,醗酵・非醗酵の二つに分けられる。また最近では各種の化学調味料も用いられている。
【ヨーロッパおよびアジアの調味料】ヨーロッパにおける伝統的な調味料は,牧畜文化と関連して,獣類と乳製品の分野において大きな発達をみせた。フランス料理のフォンやブィヨンなど肉のだし汁や,フォンやバター・ワインなどを用いたソース類,各種の合わせバターなどはこの流れをくむものである。また肉の保存に関連して,腐臭を消すため,ハーブやスパイスなどが用いられていたが,コショウなど東方のスパイスを求めて15世紀に大航海時代が始まったのは周知の通りである。しかしヨーロッパでスパイス類が庶民のあいだに普及したのは18世紀ころからといわれている。
アジアは,新大陸と並んで多くのスパイスの原産地であり,ヨーロッパとは別の調味料の体系を発達させてきた。歴史的にヨーロッパとのかかわりの深いインドにおいては,ヨーロッパと似て,水牛の乳からつくられる油脂のギー,および各種スパイスとヨーグルトを調合してつくるカレーが有名である。東南アジア諸国における基本的な調味料としては,小魚や小エビに塩を加えて醗酵させたソースである魚醤,およびココナツミルクがあげられる。魚醤は中国にも存在するが,中国・朝鮮・日本など東アジアに共通してみられる調味料としては,醤油と味噌が代表的である。味噌類は中国では醤の名で呼ばれており,豆類のほかにも魚や肉・野菜・果物などが使われている。
このほか香辛料としては,朝鮮半島におけるトウガラシの多用が有名であるが,中国においても薬草類に加え,四川や広東料理では多くの香辛料が使われている。一方,魚料理を中心に発達してきた日本料理では,同じ東アジアでも中国や朝鮮半島とは違い,まろやかな味と香りを重視する独特の薬味,吸い口の体系を発達させてきたといえる。