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●中馬 ちゅうま

アジア 日本 AD 

 近世から近代初期にかけて行われた駄賃稼馬のことをいう。近世,とくに内陸部においては,馬や牛による大規模な輸送が展開されたが,中馬はその代表的な例で,もっぱら信州地方を根拠地とするものの呼称である。ほかには,会津地方の中付駑者(なかつけどちゃ)・甲斐九一色郷(くいっしきごう)の馬・三河馬などが著名な例として知られている。その輸送法の特徴は,馬を一度に数頭追って行くことである。この時代には馬に車を引かせることはせず,馬の背に荷物を積んで行く方式がとられていたため,数頭追うことにより大量輸送が行われたのである。中馬稼は当初農民の余業として行われたが,輸送物資の増大とともに専業化していった。輸送物資は,信州からは米・生糸・煙草・薪などを運び出し,帰りは塩・魚・茶などを持ち帰った。その活動範囲は,伊那谷から三河・名古屋方面にかけてが中心であったが,最盛期には上州高崎方面にまで及んだ。