●中ソ国境問題 ちゅうソこっきょうもんだい
アジア 中華人民共和国 AD
現在の中ソ国境は帝政ロシアと清朝のあいだで締結された愛琿条約(1858),北京条約(1860),伊犁条約(1881)にほぼもとづいている。これらは不平等条約であるが,国際法上合法的な条約であり,中国もこれらの条約によって失ったハバロフスク州,沿海州,新疆外辺地域の返還を要求しているわけではなく,ただ不平等条約であることをソ連が認めることを主張しているにすぎない。しかしアムール川やウスリー川に散在する島々の帰属のように,条約の解釈の相違に根ざす国境問題では中国は妥協の姿勢を見せていない。従来の中ソ国境紛争は主にこの問題に起因するものであり,1969年には珍宝島(ダマンスキー島)で武力衝突が勃発した。中ソ国境交渉は1964年以来繰り返されているが,イデオロギー的和解が進んだ今日でも,国境問題には複雑な民族的感情が絡んでおり,また米中接近以後は大量の兵力が集結していることから,完全な解決はきわめて難しい。