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●中高年問題 ちゅうこうねんもんだい

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 労働人口の高齢化に伴い,中高年齢層の保護について国際的なテーマとして大きな問題となっているが,主に労働問題をさしている。

 1980年第66回 ILO 年次総会では,次のような趣旨の勧告を採択した。[1]年齢の高齢化によって差別を受けることなく,労働に関して均等な待遇と機会が与えられるべきであること,[2]職業の再訓練,職業紹介の際には差別しないこと,[3]老化を早める労働条件,作業環境は可能なかぎり改善し,超過勤務などを制限すること,[4]引退は任意に行われ,年金受給年齢についてはより柔軟なものにすること。

 このように中高年層に関する労働条件は,十分とはいえないまでも徐々に改善されつつあるのが現状であり,その受け皿は少しずつ整えられているといってよいだろう。具体例をあげると,まず,定年者再雇用制がある。この制度は,定年に達した者が以後も引き続きその会社,あるいは系列の企業に一定期間ではあるが再雇用されるという制度である。労働省の昭和54年度の定年到達者調整に関する調査によれば,定年後に再び雇用された者のうち36%は引き続き再々雇用されていて,企業側としては相当の努力をしているものと思われる。ただし,雇用の形態はさまざまで,賃金が従来より低く抑えられるケース,労働時間の短縮など労働条件に変化がある場合,また,極めて消極的に最低生活の保障だけにとどまるケース,さらには,高齢者を再雇用するために中高年齢者のための会社を新たに設立する場合,そして,同じ系列の企業集団相互の協力体制によって再雇用を促進するなど,多岐にわたる。高齢であるため一般の雇用に適応できない,あるいは適応を拒否するといった人々で勤労意欲は衰えていない者に対しては,1974年(昭和49)東京都の後援のもとに,東京都高齢者事業団が設立された。前述したような中高年齢層に仕事を与え,それによって生きがいを充実させ健康の増進をはかるという構想のもとに,同事業団は,1975年には東京都高齢者事業振興財団として地区高齢者事業団の設置に当たるセンターとなり,その支援を受けて江戸川区をはじめとする都内21区,26全市2町,計49の地区事業団が設立された。これらの事業団は,大体60歳以上の高齢者が自治的に運営していく相互共助システムであり,団体や官公庁,協力企業の希望によって会員に仕事を与え,一定の分配金を分配する組織になっている。

 中高年齢者雇用促進法(中高年齢者等の雇用促進に関する特別措置法)の存在も貴重である。この法律は,中高年齢者の雇用を促進するために1971年に制定されたが,高齢化社会を迎えつつある現在,その雇用問題が一段と難しくなっていることを考えると,きわめて重要なものである。同法は,職業の紹介機関などを整備すること,高年齢者の雇用率の設定と雇用の奨励・職業訓練・さらには中高年齢失業者に対する求職手帳の給付と,就職計画の作成,そして,特定地域開発就労事業などについて定めている。

 全常用労働者中の55歳以上労働者の占めるべき比率,つまり高年齢者雇用率は現在6%とされているが,この数字はいわゆる企業の努力目標であり,その達成には今後も不断の努力が要求される。

 従業員数100名以上の企業における実雇用率は7.1%とわずかながら伸びている(1983年6月現在)ものの,未達成の企業は48.5%にものぼる。また,一般的傾向として,大企業であればあるほど雇用率が低いのが現状である。これらの大企業に対して,政府は定年の延長計画推進や指導を強化していこうとしている。OA化が進んでいる今,中高年齢層の側にも新たな努力が要求されている点も見落とせないだろう。