●注音符号 ちゅうおんふごう
アジア 中華人民共和国 AD
中国語の音標文字。古来,中国の文字は,直音法(同音の漢字を利用する方法)と反切法(漢字二字をそれぞれ子音・母音の代表として,その組み合わせによって発音を示す方法。たとえば,東は“徳紅反”で t(ok)+(h)ung=tung,日本の字音では t(ok)+(k)ou=tou となる)の二つによって読まれてきた。ところが,19世紀に,中国人は西洋または日本の音標文字にふれてその便利に驚き,これに倣って中国語の音をうつすために字母を作ろうとした。1913年(民国2),政府によってつくられた読者統一会では,声母=子音24,韻母=母音15から成る39の発音符号を定めて,注意字母と名づけた。これは,1918年(民国7)11月23日,教育部から公布されたが,1930年(民国19)注音符号と改称し,教育部から推行注音符号辧法が公布された。こうして,固定した音標文字ができると国音の統一と普及に大きな力となり,またこれを利用して「国音常用字彙」(1932)・「国語辞典」(1937)などがつくられ,文盲一掃のために役立った。人民共和国成立後の1958年(民国47)に漢字併音方案ができると,ローマ字を利用する大勢になったが,その基礎はまったく注音符号であった。〔参考文献〕宮越健太郎『注音符号詳解』1935,冨山房
倉石武四郎『漢字の命運』1952,岩波書店
さねとうけいしゅう『中国の文字改革』1958,くろしお出版