●秩序 ちつじょ
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秩序には,自然界の秩序と人間社会の秩序がある。宇宙を示す英語のコスモスは,カオスに対するものであり,秩序整然とした一体を意味しているように,宇宙には秩序(自然の理法)が存在するものと考えられている。人類の歴史は集団の自己保存と発展の歴史であり,集団を維持し,発展させるためには秩序が不可欠である。そこで,人類は種々の形の秩序を形成してきた。古くは,習俗(慣習・風俗)が秩序の中心であったが,そこにおいては宗教・政治・経済・法・道徳などが未分化であり,社会生活上の諸秩序が渾然一体となっていた。しかし文明が進歩し,人間生活が複雑になるにつれて,宗教・法・道徳などが分化するとともに,階層秩序・身分秩序・役割秩序・集団組織上の秩序・交際上の秩序など,社会生活全般にわたって秩序は細分化され体系化されてきた。同時に,集団間・国家間の交流上(商取引や戦争など)の法や慣習も形づくられてきた。しかし,すべての国家に対して拘束力をもち,その違反者に対して有効な処置がとれるような国際法上の秩序は,現在のところ十分な形では成立していない。
社会の秩序の中心となっているのは法と道徳である。法は道徳を基盤にしているが,道徳とは異なって,違反者に対する外的強制あるいは制裁をもっている。法や道徳などの秩序は,古くは主として集団や宗教上の指導者の意思や権威によって決定されたが,ルネサンス・宗教改革以降,個人の自覚や人間尊重の精神が高揚されるにつれて,民主的な方法で形成されることが多くなった。しかし現代においては,この個人の意思の尊重は価値観の多様化を生み,文明進歩の加速化と相俟って既存の秩序の有効性が疑問視され,その安定性も揺らぎ多くの社会問題が生じている。今日ほど変動する社会における秩序のあり方が問われている時代はないだろう。
なお,自然界の秩序についても,ボーム・プリーブラムなどの自然科学者が,宇宙の根底には implicate order(内蔵秩序)が存在すると主張し注目されている。