50音順    検 索

●地中海農耕文化 ちちゅうかいのうこうぶんか

AD 

 オリエントの温帯冬雨気候地域で,ムギ類を中心とした一年生冬作物を栽培化し,ヒツジやヤギなどの家畜を馴致することにより成立したムギ作型混合農耕文化。イラクのジャルモ遺跡などの考古学史料によれば,その起源を前7000年までさかのぼることができる。オオムギ・コムギ・エンバク・ライムギ・エンドウ・ソラマメ・カラシ・ダイコンなどが栽培作物化され,ウシ・ロバの大型役獣が家畜化されて農耕と牧畜が有機的に結合した有畜混合農耕が生み出された。犂耕と灌漑技術が発展した結果,農業生産性は著しく高められ,前5000年後半には古代オリエント文明,次いでエジプト文明が成立したのである。さらに地中海・黒海沿岸からヨーロッパへ伝播し,ヨーロッパ農業の基本型となり,中央アジア・チベットから東方へと伝播した。

〔参考文献〕中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』1966,岩波書店