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●地域社会 ちいきしゃかい

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 学問的用語というより日常用語である。きわめて多様な意味に使われるが,それは「地域」なる概念が漠然としているためである。そこで,地域の概念を整理して,それに沿って類型化する。

【行政単位としての地域社会】都道府県,そのなかでの旧藩領域・都・市町村,さらには,町・大字などの地域スケールは違うが行政の空間的単位で呼ぶ地域社会である。この場合には,下に示すようないろいろな性格が複雑にまじり合う。すなわち,ある場合には経済的地域単位になり,ある場合には社会的・文化的地域単位などになる。

【経済活動の地域的単位としての地域社会】農協や漁協さらには特定商品作物・畜産物生産組合などを構成する地域単位で,いわば第一次産業にかかわる地域社会,東京や大阪の下町に形成される零細企業集団や各地にみられる下請企業団地,さらには,伝統工業など地場産業を支える地域集団など第二次産業関連の地域社会,商店街などの第三次産業の地域単位があげられる。また,新産業都市テクノポリスなど経済開発計画の地域単位なども考えられる。

【社会的活動にかかわる地域社会】一般的意味での地域社会は,この社会的単位であろう。農山村にみられる農村共同体はその典型である。他方都市では,町内会や小中学校学区など地縁社会が多数存在する。このうち,農村共同体は,灌漑用水や山林を共有し,生産と生活の各般にわたる相互扶助の組織や習慣が存在する。自給自足的な経済の段階では,この共同体は,相互扶助と同時に相互規制が強かったが,しだいに両方の力が弱まってきた。すなわち,都市化の直接的影響の及ぶ地域では,新しい住民が入りまじり,非農業的産業が卓越するにいたり,新旧住民の対立から,やがては都市的地域社会へ移行する。一方,山間農村では,向都離村による構成員の減少により,農業と社会活動の両面にわたり,共同体の維持が困難になる過疎現象が進行してきた。

【文化的単位としての地域社会】農村における神楽や踊り,民謡など伝統的文化を共有する地域的単位を文化的な地域社会ということができる。これは,ときによると上記の社会的単位としての共同体と一致し,ときにはさらに広い範囲を含むものとなる。都市においても文化活動,趣味の会など多様な地域集団となる。