●治安判事 ちあんはんじ
ヨーロッパ 英国 AD
中世におかれ絶対王政期に活躍したイギリスの地方行政官。前身は13世紀に州知事を助けて地方の保安にあたった治安維持官。労働者条令が1351〜59年に成立したのを契機に,1361年,エドワード3世によって治安判事制が創設された。治安維持任務に加えて警察権・裁判権が与えられ,物価統制・賃金抑制など経済面の権限をももつ地方行政・司法の要職となった。職業的官吏でなく通常無給で在地の名門のジェントリが選ばれ,国王評議会のちに枢密院が統轄した。国王による中央集権化の一翼をになう性質上,絶対王政期にその役割が最もよく発揮されたが,ときには中央とのパイプ役として地方の利害を代弁する機能を果たし,今日まで続くイギリス的地方自治の伝統を護った側面が近年指摘されている。19世紀には役割が底下し,1888年にその権限は治安維持の任務だけに縮小された。