●蜑民(蛋民) たんみん
アジア 中華人民共和国 AD
南中国の河川や沿海で,陸上に土地・家屋をもたず,親子代々船を家とし,同じ船を使い漁業や水運,真珠採取などに従事してきた。その起源については不明なところが多い。もともと蜑は四川省方面にいた蛮族の名であったが,宋代になって南中国の水上生活者を総称することばに変わった。陸上の人々から身分差別を受けていたが,清の雍正帝の時代に,陸上に住み家を建て,農耕に従事することを許された。歴史的に珠江やビンコウ※注1※の流域に分布の中心があり,現在でも香港とマカオにこの特殊な居住形態が残っている。しかし船の動力化に伴って,陸上へ住みかえる傾向が著しい。香港では,広東方言を常用する水上生活者を蜑家といい,潮州方言を常用する水上生活者であるフクリョウ※注2※と区別してきたが,今はどちらも水上人と呼んでいる。福建省と広東省にもごく少数ながら船住まいをする人が残っている。〔参考文献〕可児弘明『香港の水上居民』1970,岩波書店
![]()