●種子取 たねとり
アジア 日本 AD
稲の播種儀礼のことである。旧暦9,10月ごろの立冬の節に行う。これよりひと月前に「ミヤ種子」の行事があった。ミヤ種子は「マーダニ」とも発音する。この日庭の一隅に稲の種子を埋め発芽を試みるもので,豊穣を予祝する行事であった。いよいよ播種期に近づくと,数日前に水に浸し,いったん水からあげて発芽させてから播く。この日はデームイと称する大きな握り飯が家族全員にふるまわれ,豊穣を予祝する意味で,ススキの箸や海のホンダワラ,枝サンゴが供えられたりした。蓬莱米を栽培し,2期作をするようになった昭和初年ごろからこの行事は廃れた。一方,八重山の竹富島では,「種子取祭」は現在も大きな行事である。各戸とも粟の種子を播き,糯米(もちごめ),糯粟,小豆をねったイバツ(飯初)をつくり,戸主の姉妹がそれを四角に切って神仏に供える。さらに精進の日をへて,クライマックスは2日間にわたる玻座間・仲筋両部落の芸能の神前奉納である。その夜は各戸をめぐり“ユークイ(世乞い)”をする。つまり来年の豊作祈願である。そのとき出される料理は縁起のよいニンニクと蛸の刺身である。