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●脱穀機 だっこくき

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 脱穀を行う農業機械。脱穀方法は,作物の種類や農業の発達段階によってことなる。古くは刈り取った稲や麦などを地面に並べてその上を人や家畜が踏みつけたり,石のローラーを引き回して脱穀する方法,あるいはこん棒や連枷という割竹で編んだ打木などでたたく方法がもちいられた。平安時代ごろから脱穀する道具として籾箸(もみはし)または扱箸(こきはし)や稲管(いねくだ)がもちいられた。扱箸は長さ30〜50cmの竹の棒を2本,節のある部分でゆわえ,ゆわえた方を下にV字型に突き刺して,2本の竹の間に穂をはさんで籾などをこき落とすものである。

 江戸時代になって千歯扱(せんばごき)が発明され急速に全国的に普及した。千歯扱はとがった鉄の刃を櫛のように並べたもので,稲束ごと穂をすくことができ,作業の効率は扱箸の6〜7倍となった。山村では少量のダイズなどの脱穀として最近まで使われていた。

 1910年(明治43)には足踏式回転脱穀機が発明されて千歯扱の約8倍の作業能率をあげるようになった。足踏式回転脱穀機の構造は,三角形の架台に回転する樽状のこき胴を装置したものであり,こき胴の表面には鉄線を逆U字状にしたこき歯を配列してある。架台の下部にある踏板を踏むと,クランク機構と歯車装置とによってこき胴が回転するようになっている。この回転するこき胴に稲や麦の束を押しあててこき歯の打撃力で穀粒を打ち落とすのである。

 第二次世界大戦後,農村に発動機が普及するようになって動力回転脱穀機が使用されるようになった。動力回転脱穀機の構造は,足踏式回転脱穀機のようなこき胴を主体とする脱穀装置と,とうみという脱穀物を風圧で選別する装置からできている。発動機の動力をベルトによって動力回転脱穀機に伝動する。動力回転脱穀機では,こき胴で脱穀された穀粒は,受網を通してふるい分けられて落下し,次にその下にあるとうみの送風機の風圧によって精粒は1番口へ,不完全粒は2番口へ,わらくずは3番口へと吹き分けられる。こき胴は単胴式が一般的であるが,脱粒しにくい稲をつくる東北,北陸地方では二つのこき胴を並列する複胴式のものが使われている。改良型には脱穀された粒の送り出し装置を備えたものや稲東の自動送込装置をそなえたものがある。作業能率は1時間当たり自動送込式で10〜20アールである。

 この他雑穀や豆類の脱穀には連枷や木槌などが用いられたが,現在はおもに動力回転脱穀を用い,主な作物には専用の脱穀機がつくられている。トウモロコシは連枷で打ったり臼と杵でつくこともあるが,トウモロコシ脱粒機も開発されている。

 動力回転脱穀機がさらに進歩したものにコンバインがある。コンバインとは田や畑を移動しながら刈取りと脱穀,精選,袋詰めまでを同時に行う農業機械である。刈取り部分と脱穀選別部分とからなり,機械の前面に取り付けられた刈取り装置で一定の幅に穀物を刈り取り,脱穀選別装置におくって脱穀精選する。わらは機外に放出され,穀粒は送風機の風圧で吹き分けられる。精選された穀粒はいったん穀倉に集められたのち袋づめまたはバラのままトラック等にうつされる。対象となる穀物にはムギ・イネ・ダイズ・トウモロコシなどがあるが,作物によって刈取り,脱穀方法に多少の違いがある。

 コンバインは大規模農業が広く行われているアメリカやソ連等で発達した。日本では昭和40年代に入って農業の省力化,機械化が推進され,田植機などの使用に伴って徐々に普及するようになった。しかし日本で使用されるコンバインは,アメリカやソ連で使用されているものに比べてはるかに小型のもので,刈取り機に自動脱穀機が併置されている自脱型コンバインが多い。それはアメリカなどに比べ田や畑が小さいため,小型の自脱型コンバインが適しているからである。

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