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●妲己 だっき

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 殷の紂(ちゅう)王の寵姫。紂王は討伐で得た妲己を溺愛して,そのいうことは何事でも聞きいれ,淫らな薬をつくらせ,重税をとりたて,財宝・珍獣を集め,酒池肉林の宴楽にふけり,また炮烙(ほうらく)の刑をつくって,罪人が火中に落ちて死ぬののを笑い楽しんだ。そのため民の怨みをかい,諸侯にそむかれ,ついに周の武王に討たれて,紂王は敗死し,妲己も殺されたという。このように妲己は,悪逆な暴君と組んだ淫靡,驕奢,残忍きわまりない典型的な亡国の悪女として語られているが,この説話は後世の儒家などによって作り出されたもので,紂王の実像は,厳格な祖先祭祀を行い,殷王の権力を強化させた独裁君主であったようである。なお,このような悪徳の君主,亡国の悪女の説話は,西周末の幽王とホウジ※注1※の説話が最初で,殷末の紂王・妲己説話は第2次の反映伝説,夏末の桀王・末喜(ばっき)説話は第3次の反映伝説であるという見解がある。

〔参考文献〕貝塚茂樹『中国の歴史 上』1964,岩波書店

宮崎市定『中国史 上』1977,岩波書店

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