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●たけくらべ

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 樋口一葉の小説。1895年(明治28)1月〜1896年1月「文学界」に断続分載したのち,1896年5月「文芸倶楽部」にまとめて再発表。雅俗折衷体の短編だが,一葉の小説の中ではもっとも長く,発表直後「めざまし草」の批評欄で森鴎外・幸田露伴・斎藤緑雨らに激賞され,多くの人に愛読されてきた明治文学の傑作。一葉は1893年7月から翌年4月まで,吉原遊郭揚屋町非常門近くの下谷(台東区)竜泉寺町で荒物・駄菓子屋を開いたが,『たけくらべ』はその体験に基づいて書かれた。吉原遊郭を控えた大音寺前に住む少年少女,つまり妓楼大黒屋の養女美登利・竜華寺の息子信如・もと質屋の田中屋の孫正太郎の美しくも哀れな春のめざめを描いた。吉原遊郭の特殊な風俗や年中行事と人情をちりばめながら,吉原の娼妓になる宿命を背負った美登利が僧となって聖界に入る信如と別れなければならない運命を中心に,哀感のただようみごとな世界を築いている。