●タキトゥス
ヨーロッパ ヨーロッパ AD55
55〜120 ローマ帝政時代の歴史家。タキツスとも表記される。ウンブリアのインテラムナの生まれといわれる。ネロの帝政時代に幼時を送り,弁論と法律を学び,のち雄弁家としての名声を得た。軍団司令官・財務官・法務官を務め,ドミチアヌス帝の恐怖政治下では沈黙を守った。著作活動はトラヤヌス帝時代に始まる。『アグリコラ伝』で,妻の父で有名な政治家であるアグリコラの業績を記録し,『ゲルマニア』で,ローマ人に対して威圧を与えていたゲルマン人の生気に満ちた世界を描いた。古代ゲルマンの数少ない資料である。『弁論家についての対話』で帝政を批判し,共和時代への讃美をこめた。代表作は『歴史』と『年代記』で,前著は69年1月1日から96年までの歴史,後著はアウグストゥスの死からクラウディス家支配の終わりまでの年代記。散逸した部分も多いが,ラテン語文章の最高峰といわれる。