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●宝船 たからぶね

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 金銀綾錦を乗せた舟のこと。船に財宝を積んだ図を年初め(正月2日)に寝床の下におくと吉夢をみるという習俗があり,宝づくしや七福神(福禄寿・寿老人など)をのせた帆掛け船が描かれている。宝船は縁起物であったせいか,暮れに「おたから,おたから」と呼びながら歩く宝船売りがあり,夢違いの獏の札・宝舟売と呼ばれていた。年頭にあたり,一年の吉凶を占う年占いの習俗の基礎となっている。そのためか,版画にして民間に流布されていた。東京の町では明治中期くらいまで行われていた。おそらく宝船は海上のかなたのユートピアから幸運が招来されるという民俗信仰の基礎としてつくられた神船の一種であろう。呪符にしたのは陰陽師で,夢占いにしたて,江戸の都市社会の中で疎外された人間として,希望を求めた人々にうけたものである。農村では,宝船を新しいわらで作って神社に奉納したり,家ごとにかざっておく。これは現世利益を求める庶民信仰である。