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●タイラー

ヨーロッパ 英国 AD1832 ハノーヴァー・ウィンザー朝

 1832〜1917 イギリスの人類学者。高等教育は受けず,町工場のあとつぎとなるはずだったが,結核にかかり,転地のためアメリカに渡った際,キューバ旅行に出かけ,これを契機として人類学の道を歩むようになった。進化主義の学者であるが,西欧を進化の頂点とする考えには賛成せず,各民族の現状を,与えられた環境に適応した結果とみなした。この考えをもとに,彼は人類の文化すべてについて研究を進め,文化・言語・宗教・道徳・呪術などに対する概念規定を独創的に行い,文化科学内におけるそれぞれの位置を定めた。また,宗教発生の第1の段階として,万物に霊的存在が宿るというアニミズムを想定し,アニミズム→多神教→一神教の宗教進化の図式を考えた。この論はその後多くの論争をひきおこし,優れた研究を生み出すきっかけとなったが,現在ではすべて否定されている。しかしタイラーの,一切の文化は人間の生活の道具であり技術であり,アニミズムを含む宗教全体もその例外ではないとする考え,つまり,絶体的価値観をぬきにして,種々の文化的事象の意味を求めるという,現在の文化人類学の基本的方法論に通ずる考え方は,高く評価されており,“人類学の父”とも称されるゆえんとなっている。彼の著書は多数あるが,『原初史』(1865)・『原始文化』(1871)・『人類学』(1881)などが有名で,とくに『原始文化』は学界にすこぶる大きな影響を与えた。1884年オックスフォード大学人類学講師,1896年同大学初代人類学教授に就任。ハックスリー・スペンサーとともにヴィクトリア朝の文化人。