●大唐西域求法高僧伝 だいとうさいいきぐほうこうそうでん
アジア 中華人民共和国 AD
中国の唐初より690年(載初1・天授1)ごろまでにインドへ求法した僧の伝記。義浄(635〜713,貞観9〜開元1)が,689〜691年(永昌1〜天授2)に滞在した室利仏逝(シュリーヴィジャヤ,スマトラ)で撰述。記されたのは56人,追加4人で総計60人。うちに新羅僧7人を含む。上下2巻あり,上巻末に那爛陀寺の区画構造・僧の生活を記す。もと本書には寺図が付されていたが失われた。伝記は全体的に義浄が直接に会った者や知り合った僧からの伝聞に取材し,とくに戒律をきわめたうえでナーランダ寺において唯識学・因明学を研究し仏跡を巡礼して,南海経由で往来した者が多く記述されている。本書は求法熱を知らせるだけでなく,南国僧は本国と通じた寺をインドにもっていたが,中国僧にはそれがなく,東インド王は支那寺の復興を考えていたこと,裸人国の人はヤシ細工と鉄を交易し,商人が衣を与えても用いず根菜を主食とすることなどを記し,インド・南海の事情を知るのに貴重。足立喜六の和訳(1942,民国31)とシャヴァンヌの仏訳(1894,光緒24)がある。