50音順    検 索

●太上感応篇 たいじょうかんのうへん

アジア 中華人民共和国 AD 

 善書勧善書)の代表的作品。南宋の初めに李石によって世に出る。以後,現在にいたるまで広く流布した。本書は『抱朴子』の対俗篇と微旨篇の文章をもとにした1,277字の短篇であるが,善行の奨励をきわめて要領よく述べている。書名の「太上」とは神格化された老子(太子老君)である。つまり本書は〈太上曰く〉で始まるように,太上老君のおつげという形をとる。「感応」とは天と人の感応の意で,人の善行悪行に天が感じて,それに対ししかるべき禍福を与えることである。具体的内容は,人の罪を天上の神がみていてその軽重によって寿命を増減するというように,きわめて現世利益的な色彩が濃厚である。つまり善行の勧めを禍福という功利で補強したもので,現世利益をつねに願う民衆の心情をもとに中国の伝統倫理が平易に説かれている。一般に近世民衆道教の代表的書物とされるが,道教・儒教という学派をこえた伝統的倫理観を率直に語ったものとして,士大夫から民衆まで広く読まれた。