●大衆文化 たいしゅうぶんか
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大衆社会登場以前の文化の存在形態は,基本的に支配的階層の文化と,社会の基層にある土着的民俗文化の二層の構造をなしていた。しかし,大衆社会が登場し,生活水準の上昇,文化享受能力の向上・平準化という傾向が進むにつれ,文化の自由な享受範囲が拡大し,文化の二属性は,中間領域に収束していく。こうした中間的文化が大衆文化である。以上の過程の進行の背景には,資本主義の高度な発展による過剰な生産力の処理=消費の可能性の社会的追求の問題が介在しており,したがって,大衆文化の特徴はその消費的性格にある。また,生産の優位性の崩壊は,文化の生産のオリジナリティを喪失させ,“複製技術化”“大量化・画一化”を生み出した。このため,消費文化=文化の消費もまた絶えざる文化享受能力の差別化=差異化として現れざるをえない。それは,競争のための絶えざる競争=自己増殖的競争としての文化の差異化として現象しつつある。〔参考文献〕W.ベンヤミン,高木久雄他訳『複製技術時代の芸術』1970,白水社
J.ボードリヤール,今村仁司・塚原史訳『消費社会の神話と構造』1979,紀伊国屋書店