●大月氏 だいげっし
アジア 中華人民共和国 AD
前3世紀ごろタリム盆地及びその周辺から黄河上流にかけては月氏と呼ぶ民族が支配し,東の匈奴や東胡を圧迫していた。のち匈奴勢力が台頭し,前206〜前162年には,冒頓・老上単于が月氏を攻撃し河西からタリム盆地を征服した。そのため月氏はその主力を天山山脈北のイリ方面に移したが,その月氏を大月氏と呼び,甘粛・青海から黄河上流に残存した勢力を小月氏と称した。前162年再び匈奴の攻撃を受けた大月氏は,アム河北に移動しソグド地方を統治し,バクトリアに進出した。これが漢使張蕎が訪れ,『史記』大宛伝に記された大月氏国である。のちバクトリアの五翕侯の一つの貴霜(クシャン)が大月氏に代わり支配権を握るが,このクシャン朝も中国史料では大月氏国と称した。