●ダーイー
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「真の信仰に招く者」を意味し,初期イスラームの分派によって布教者の中心的人物に対して用いられた称号。ダーイーの役割は,シーア派とくにイスマーイール派において顕著であった。ダーイーは,各自特定の管轄領域を与えられ,そこで広汎に及ぶ権威を信者たちのあいだに振るった。エジプトにイスマーイール派のファーティマ朝(909〜1171)が設立される以前,新たに改宗者を獲得したり,軍事的指導を行うことが,彼らの主要な任務であった。同王朝が成立すると,彼らは単なる宣教活動だけではなく,スパイ活動を行い,中東各地に情報網をひいた。さらに,ダーイーは,学者でもあり,神学的・哲学的議論を活発に行った。ファーティマ朝のイスマーイール派の分裂後,イランのエルブルズ山中に本拠を置くハサン=サッバーの一派(ニザーリー派,“暗殺者教団”として有名)では,ダーイーの称号は,単に一派の長を意味して用いられるようになった。