●ゾルレン
AD
一般に「まさに為すべきこと」をいい,当為と訳される。現にあるものザインや自然的必然に対してあるべきのという意味である。道徳上では,人間としてなさねばならぬ必然のことである。自然的必然は反対することが不可能だという意味であるのに対して,この倫理的必然は,反対も可能であるがしかし人間としてはそうすべきという意味で,自由を前提する必然である。カントは,他の目的の手段としての当為と,それ自身を目的とする当為との二種を区別した。たとえば,教室に落ちている紙屑を拾うという道徳的行為が示されたとする。その行為が,自分がそれを拾わないではおれないという純粋な気持ちから為されたものか,または,そうすることが先生の称賛を受けるという結果を予測して為されたかでは大きく異なる。カントは,前者のようないかなる条件にも左右されない真の道徳的行為をひたすら義務に適合するように行為すべきだと主張した。