50音順    検 索

●惣領 そうりょう

アジア 日本 AD 

 中世の在地領主層を主体とする武士社会で,同族的結合の中心に立って嫡・庶の一族を束ねる家父長を惣領と呼んだ。在地領主制の形成が進みはじめた院政期,惣領は家の子や家人を所領の各地に分住せしめ,所領や下人などの生産手段を分割相続させる一方で国衙や荘園領主への貢租・夫役を分担せしめて,所領の統轄的支配権と在地村落に対する強固な支配権を樹立していった。この封建的な家父長制的・農奴制的在地支配方式を巧みに取り入れた鎌倉幕府御家人制度の確立に伴って,惣領制と呼ばれる中世荘園制社会の基本的な政治構造が形成された。鎌倉末期から南北朝期を通じて,在地の生産諸関係が変化し社会的結合の広域化,地縁的原理の優越化が進むに従い,惣領による単独相続制が表れ,惣領制のもつ政治・経済的構造が解体,守護大名を典型とする大領主による群小領主の家臣化が展開し,「惣領」の語は近世の嫡長子の家督と単独相続制のなかにのみ生き残った。

〔参考文献〕羽下徳彦『惣領制』日本歴史新書,1966,至文堂