●ソヴィエト民俗学 ソヴィエトみんぞくがく
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フォークロアを研究する科学で,現代のロシア語では,“フォリクロリスティカ”。かつてナロードナヤ・スロヴェースノスチ(民間の文学)と呼ばれていた。民間の口承創造・口承芸術が対象とされる現在では,その範囲が拡大されている。具体的には,その内容,社会性,考え方の本質,芸術上の特性(その発生・発展),存続上の各段階での特性,文学および他の芸術との関係,その創造的プロセスの特性および各作品ごとの存続形態,各ジャンルごとの特性などが問題とされる。研究対象で基礎としてのジャンルでは,現在のところ,儀礼に伴う詩歌・諺(ことわざ)・呪い・謎々・昔話・伝説・口碑・ブィリーナ(古代ロシアの英雄叙事詩)・物語り口承詩歌・チャストゥーシカ(四行俗謡)・演劇とされるのが一般である。一方,フォークロールは複雑に組合わされた芸術であって,その作品には口碑・音楽・演劇など各種芸術の要素が入り込んでいる。さらには民衆の暮らしや儀礼との結びつきも密接であり,さまざまな歴史時代の特性がこれに反映している。このため言語学,文学,演劇学,民族学(エトノグラフィヤ),歴史学など各種科学が関心を抱いて,その研究対象としている。せまい意味でソ連では,フォリクロリスティカ(民俗学)は,民間の詩的創造を研究する科学と解釈されているが,近年ではフォークロアの持つほかの側面の研究と切り離せないとして,学際的研究こそが実りあるものとして奨励されている。ソヴィエト民俗学の特長となるものは,史的唯物論に立ってのアプローチであり,また民間伝承という遺産を新しい社会主義文化のなかに採り入れようとする積極性である。〈民俗学者に与えられている使命は,民衆の芸術的才能によりつくられたよき伝統を,創造的に発展させるよう最大限に力を貸すことにある〉となる。〔参考文献〕大藤時彦『ソヴィエット・ロシアの民俗学』伝承文化第4号・1964,成城大学
グーセフ(大木伸一訳)「現代のフォークロアとは何か」民俗学評論第4号,1970,大塚民俗学会