●賤民 せんみん
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身分制社会において,とくに卑賤視された民衆をいう。その成立は,国家・階級の発生と同時的で,紀元前後には「生口」,「奴婢」として登場する。古代賤民制は,大化の改新以後,法的に確立し,良民・賤民の身分差が明確となる。いわゆる「五色の賤」が決められ,それぞれに細かな差異が設けられた。また,当初,良賤間の子は賤民とされたが,班田農民の逃亡による口分田の不足を補うため,798年(延暦8)良賤の子を良民と定めた。その後,古代賤民制は実質的な崩壊の途をたどった。中世の賤民は,古代のそれとは根本的に異なり,手工業や雑芸に従事する広義の「職人」をさし,中世都市の成立や民衆文化の発展に大きな役割を果たした。中世の流動的な身分制に比べ,近世は典型的な身分制度の時代といわれ,徳川幕藩権力は,士農工商以外のアウトサイダーを「エタ・非人」の二つの賤民群に統合しようとするが,関東など一部の地域を除けば,必ずしも完成はしなかった。