●潜夫論 せんぷろん
アジア 中華人民共和国 AD
後漢の王符(2世紀の中ごろ)の著。王符は幼少から学問好きで馬融らの学者と親交があったが,出身が賤しかった上,節操を固く守っていたので仕官しても出世ができず隠棲して書を著し,当時の悪弊を痛論した。『潜夫論』36篇は自分を表すのを避けた書名である。思想は儒教主義と法家主義をともに尊重する立場をとっているが,この書は厳しい現実分析にもとづいて悪弊を克服しようとする切実な論考の集積である。儒教主義と法家主義の必要であるときと場合を明確にしているので論理の矛盾はない。彼は当世を「乱国」としてとらえ,これを改変し治安と秩序を回復するためには当面重賞と酷刑を用いるほかはなく,しかもこれは一朝にしてなるものでないから,絶えず君主の強制権力を維持しなければならないとした。しかしこれをもって治世の最終目的とはみず,刑罰減少のために経済政策で民生の安定をはかって教化の条件を整備し,段階的に徳治の理想を実現すべきだと説く。基本は儒家であろう。