●戦争と平和の法 せんそうとへいわのほう
ヨーロッパ オランダ王国 AD
“国際法の父”と呼ばれるオランダの法学者グロティウスの主著。1625年に公刊された。当時は三十年戦争のさなかであり,この戦争をへてヨーロッパには主権国家を単位とする近代の政治体制が成立,主権国家相互の関係を律する法が必要とされてきた時代でもあった。本書はそのような要請にこたえ,国際法についての学問的基礎と体系を与えたものといえる。この書は3巻よりなり,冒頭に執筆目的,基本思想などを要約した序言(プロレゴメナ)が付されている。グロティウスは諸国家間において守られねばならない正義や共通の法が存在すると主張する。それは戦争における敵対国のあいだにおいても同様であるとする。むしろ戦争は法を執行するための手段としてのみ行われるべきものとされる。そして国際法は人間の理性的本性に基礎づけられた自然法,共通の同意にもとづく万民法,神の自由意志にもとづく神意法の3種で構成されると考える。彼はまた戦争の正当性の問題,公職と私戦,主権,正しい戦争の行われる原因などを論じたあと,戦争法規についての考察を行っている。この書はその後の国際法理論の発展に大きな影響を与え,今日においてもその意義は高く評価されている。