●山水屏風 せんずいびょうぶ
アジア 日本 AD
日本の密教教団において結縁,伝法灌頂(でんぽうかんじょう)または曼荼羅供(まんだらぐ)の儀式に,その執行者・責任者である大阿闍梨(だいあじゃり)の座席の背後に立てる山水を描いた屏風をいう。その由来については印度で灌頂などを行う壇場を,山林に結界(聖域)を設ける習慣があり,そこは華果多き山林,清泉の湧く処であったところから,日本ではそれを屏風に描いて代用したもので,寺内で行う灌頂の場で使った。現存する最古の山水屏風は京都,教王護国寺(東寺)のもので,平安中期ころの作とされ絹本著色で6曲1双のもの,濃彩で全面に白水を描き,下方の林間に隠者の茅屋があり,数人の高官が訪ねている情景で,人物はすべて唐風,背景の山野はすべて大和絵風に描かれている。平安末期の作とされる。また神護寺蔵のものは鎌倉時代の作。まったくの大和絵風で絹本著色であるが,こちらは6曲1双で片方は散いつしたのであろう。いずれも真言密教の名刹である。