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●善書 ぜんしょ

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 善書は勧善書の略であり,一般民衆の社会倫理,社会道徳を説いたものである。宋代に現れ,明清にわたって盛んに流通した。善書はその目的からしても市販されるものではなく,無償で刊行されるが,その代表的なものに『太上感応篇』がある。これは南宋の初め四川の士人李石によってはじめてつくられたもので,内容は善悪の応報を説き,一貫して善行を勧めるものとなっている。このほか学問の神文昌帝君の所説という『陰隲文』,関聖帝君(関帝)が説いたとされる『覚世真経』などが有名である。これらの経もすべて勧善止悪を説くものであるが,社会生活におけるいっさいの行為の善悪の規準を定めたものが,『功過格』と呼ばれる類の善書で,ここではあらゆる行為を「功」(善)と「過」(悪)に分け,プラスマイナスの点数が付けられている。これに従って毎日の行為の点数をつけ,1年ごとに決算してプラスが多ければ善報が得られると説かれている。これらの善書を作成・刊行したのは,主として知識人層・士人層であり,儒教的な倫理を民衆的規範をふまえて民衆化したものといえる。その背景には,宋以降の庶民文化の台頭,三教一致の時代思潮といったものが存在する。なお現在でも,台湾や東南アジアの中国人社会では,主としてオフデサキ※注1※などによって新しいものが生み出され,刊行されつづけている。

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