●ゼノン(エレアの)
ヨーロッパ ギリシャ共和国 AD
古代ギリシアの哲学者。ストア派のゼノンと区別するため,エレアのゼノンと呼んでいる。南イタリアの植民ポリス,エレアの人。パルメニデスの弟子。前490年ごろの生まれ。師に従ってアテナイを訪れたことがある(前450年ごろ?)。エレアの僣主に対する謀議に加わってとらえられ,激しく抵抗して死んだと伝えられる。彼は師の説を擁護して,反対論者の主張する,感覚にあたえられる,生成・消滅・運動・変化することが存在するとすれば,という立場から出発し,そこからどのような「あり得ないこと」「考えられないこと(パラドクス)」が帰結するかを論証し,相手の立場を破壊する方法をとった。この方法によって,彼はアリストテレスから「問答法(ディアレクティケー)」の祖と呼ばれる。アリストテレスの伝える彼の運動否定論は有名。その一つに「飛矢静止の論」がある。〈時間は,これ以上分割出来ないような,無限に数多くの“今”からなるとして,“今”あらゆるものがそれ自身と等しい空間のひろがりを占めているのなら,それはつねに静止していることになる。ところで動いているものはつねに“今”においてあるほかはないし“今”それ自身と等しい空間のひろがりを占める他はないのであってみれば,飛んでいる矢は動いていないことになる〉。ゼノンの議論は「無限」や「連続」の問題をめぐって,数学や物理学にも大きな影響をあたえている。
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