●善根宿 ぜごんやど
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善根とは,本来,仏教語である。サンスクリットではクシャラームーラにあたる。「善根を施す」といった表現は,なんらかの行為が根となって善を生ずるという意味である。善根宿とは上記のことばの意味を踏まえて,わが国では,民衆が遊行中の修行僧などに一夜の宿を無償で提供することを意味した。さらにこの意味が拡大されて,遍路や巡礼などに一夜の宿を貸すことを善根宿というようになった。近代以前では日本各地でこの種のことが行われていたが,なかでも善根がとくに盛んだったのは四国遍路である。善根宿を提供する理由は,その日が近親者の命日に当たっているとか,自分の信仰している仏菩薩の縁日に当たるからといったことであった。それゆえ,宿を提供した家人は,その遍路や巡礼をきわめて丁重に遇したのである。また,遍路たちがその謝礼として,家人に優れた籾とか特別なお灸を伝授し,それが代々引き継がれてきている,というような伝説も各地に残っている。