●石貨 せきか
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ヤップで伝統的に用いられている石でつくられた財貨。直径30cmくらいの小型のものから3mを超える大きなものまであり,ほぼ円盤状をなし,中央に穴がうがってあり,そこへ丸太棒をさし通してかつげるようになっている。この石貨に用いる石材はヤップにはなく,一部は台湾あるいはグアム島から運ばれたものもあるが,大部分はヤップの西南約450kmに位置するパラオから運ばれたものである。鉄器使用以前は,ヤップ人は貝斧や石斧を用いてパラオブ石(結晶炭酸石灰岩)を切り出し,円盤状に細工したのち筏につるし,この筏をカヌーで引いて帰ってきたのである。1871年,乗り組んでいた船がヤップ島沖で難波し,ただひとり岸にたどり着いたアイルランド系アメリカ人オキーフは島民の介抱を受けているあいだに,この石貨を知り,香港に渡って船をチャーターし,最新式の道具をパラオにもち込んで石貨をつくり,繰り返しヤップに運んでコプラを買いつけて輸出し大儲けした。彼はコロニア近くの無人島を買い取り大邸宅を築いたが,1901年,航海に出たまま船もろとも消息を絶った。なお,ヤップの石貨の価値は必ずしも大きさに関係なく,それぞれのもつ歴史にもとづいており,たとえ小さくても,貝斧や石斧でつくられ筏で運ばれてきたものの方がオキーフが鉄器でつくり,汽船で運んだものより価値が高いとされている。