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●政治資金規制法 せいじしきんきせいほう

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政治資金規制の必要】現代の議会制民主主義の下では,政治団体とくに政党はきわめて重要な役割を演じている。それは国家と社会を媒介・連結・統合するものだからである。民主政治の維持発展のためには,政党をはじめとする政治団体の活動が健全かつ公正であることが前提であり,これを国民の不断の監視の下に置く必要がある。政治活動には諸種の理由で莫大な費用が必要であり,その出入りをめぐって政治腐敗が生じやすい。このような好ましからぬ事態を防止するために,たとえば,西ドイツのように,政治資金の規制を含めて,政党活動の全体を法的に規制する政党法を制定する国もある。わが国でも,1946年(昭和21)以来,しばしば政党法の制定が試みられたが,その内容や性格にいろいろの問題があり,とくに,既成大政党に有利で新政党や小政党に不利になりがちであるばかりでなく,政党そのものの本質や定義等をめぐって,自由と平等を根本原理とする日本国憲法の基本的諸条項に適合しえない点もあって,今日に至るまで実現に至っていない。そこで,政党を全体として法的に規制するかわりに,政党の諸病理現象のうち,政治腐敗の最大の原因とみられる政治資金の出入りの法的現制を行うことが,より現実的な方法であると考えられた。実際,わが国における政治資金の規制は,最初は,1946年内務省が政党法要綱において,政党の範囲・組織・会計,衆議員候補者の予選および選挙等を規制せんとしたことに始まるが,これは実現しなかった。そして,これに代わって,諸党派の提案によって,1948年4月,政治資金規制法が制定されたが,その後,幾度か改正されて今日に至っている。

政治資金規制法の内容】戦後の政治的経済的混乱のなかで頻発した政治的腐敗事件を契機として,政治資金規制法はしばしば改正されざるをえなかった。昭電疑獄造船疑獄のあとを受けて,1962年,国や地方公共団体から補助金や出資を受けている会社,その他の法人が選挙に関して寄付の授受をすることを禁ずる規定が加えられた。その後も,いわゆる“黒い霧”事件などの一連の政治的腐敗事件や金権選挙批判等を契機として,1975年に大改正が行われた。この改正では,企業・団体・個人献金に制限を設け,個人は年間2,000万円を限度とし,会社や労働組合その他の団体は,その資本金額・組合員数・前年度経費に応じて最高1億円までとしたが,政治団体の行う寄付については制限を設けていない。また,届出義務も強化され,収入の項目別の報告が義務づけられた。寄付主と金額についても,規定に従って明記することになった。支出についても項目などが統一された。期間についても,1月から12月までの通しで収支報告すべきものとされた。また,1980年,政治家個人の収支公開が義務づけられた。従来,政治資金規制法は政党その他の政治団体の政治資金の規制を中心にしていて,政治家個人のそれは放置していたので,これが一つの大きな抜け穴であるといわれていたが,ロッキード事件ダグラス・グラマン事件にかんがみ,一定レベルの公職にかかわる政治家個人の政治活動に要した政治資金についても,これを規制することにした。

政治資金規制法の効果と問題点】政治資金規制法の諸規定にもかかわらず,その目的は必ずしも十分に達成されたとはいい難い。というのは,政治資金収支の報告義務には,諸種の抜け穴があり,また,企業や労働組合や宗教団体,その他の団体の政治資金の諸源泉について,これを十分に規制しえていないばかりでなく,さらに,選挙費用等についての違反者の追求・処罰も徹底していないからである。以上のように,政治資金の法的規制だけでは,政党その他の政治団体の政治活動の公正さを期待することはむずかしい。政治資金規制のよりいっそうの強化とならんで,腐敗選挙に対する連座制の強化その他の罰則の強化,選挙公営その他選挙制度の改革により,政治活動に多大の費用を要する現状を根本的に改革することも必要である。