●政策決定集団 せいさくけっていしゅうだん
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【政策決定集団とは何か】政策決定過程に関与し影響力を発揮する社会集団。従来,法律学や伝統的政治学の強い影響の下で,政策決定過程は立法過程であり,国会議員・内閣・政府各省の官僚集団が主要な政策決定集団と考えられていた。その後,しだいに法制度外的な社会政治集団の活動が考察の対象のなかに含まれ始めてからは,おおざっぱに統治階級・支配階級・権力エリート・政党・指導者集団等が政策決定集団として考えられるにいたった。しかしながら,現代政治学,とくに,政治過程論・政策決定過程論・官僚制論等の発展とともに,その視野がますます拡大され,政策決定集団は狭く,直接に政策決定に関与するもののみならず,広く,間接的に関与するものをも含めて,政党・官僚・自治体・財界そのほかの利益集団,さらにはマス=メディアや世論をも含めて考えるようになった。さらに,近年,ネオ=コーポラティズム論の台頭によって,政策決定集団のより新しい姿が認識されるようになった。【政策決定集団の政策決定への参与の仕方】政策決定集団の政策決定への参与の仕方は,政策決定過程の段階が異なるのに応じて異なる。トップにおいて,内閣・与党・官僚のあいだでは,近年,政策決定力が官僚集団に集中する傾向と,内閣の政策決定力が分散する傾向とが同時にみられる。一般的に,高級官僚集団は最も重要な政策決定集団の一つである。彼らは,“われらこそ国家の担い手”というエリート意識が強く,民主政治に随伴しやすい政治的不安定に対する均衡錘たらんとして固く結束し,政策の継続性・安定性を志向し,ときには,高度の専門知識と経験の蓄積から先進的政策を打ち出すこともあるが,反対に,その閉鎖的特権性から,保守的な逆機能を演ずることもある。政策課題の提起は卜ップから始まることも多いが,市民団体・企業・労働組合・地方団体・そのほかの社会団体の諸要求から発することがしばしばである。むろん,当該集団ばかりでなく,これに対するマスコミや世論のあり方も大きな意味をもつ。これらの諸団体が目標実現のために,具体的活動を展開するとき,それは重要な政策決定集団の一つとしての圧力集団となる。彼らの活動の様態や,彼らの掲げる政策課題の意義に応じて,諸政党・議員・政府諸機関の官僚集団が,その活動を開始する。従来,政治過程論は,圧力過程を中立的政府に対する諸集団の自由な圧力活動の集合であり,政策はその圧力の強さに比例して決定されると考える傾向があったが,この見解には問題がある。
【ネオ=コーポラティズムと政策決定集団】元来,コーポラティズムは中世的制度であるが,今世紀に入ってファシスト的権威主義的国家コーポラティズムが成立し間もなく崩壊した。最近,欧米先進諸国において,自由主義的社会コーポラティズムの台頭が顕著となり,政策決定過程と政策決定集団の性格に大きな変化が生じつつある。ネオ=コーポラテイズムについては,シュミターの有名な定義があるが,要するに,圧力集団が体制内にかかえこまれ,制度化され,彼らが政府の一定の統制権の承認とひきかえに,政策決定過程で一定の特権を獲得し,このような組織の意向に反しては政治を行いえないようになった政策形成の新しい制度である。反リベラリズム・後発資本主義・権威主義を特徴としたファシズム型のものと異なり,ネオコーポラティズムは,競争的選挙制と政党制をもち,多様なイデオロギーを容認している点で異なる。それにもかかわらず,国家官僚集団・企業経営者集団・労働組合幹部集団の三位一体化による管理社会的傾向が強まり,政策決定集団の寡占化・政策選択肢の縮小・政策決定過程の不透明化などの好ましからざる現象が生じつつある。その実態は国によって異なり,たとえば,日本については,労働団体の弱さが指摘される。また,政策決定集団の一つとしての政党の意義の低下を指摘する人もあるが,ネオ=コーポラティズムの本質や評価については,まだ説が分かれている。
〔参考文献〕村川一郎『政策決定過程』1979,教育社
山口定『ネオ-コーポラティズム論における“コーポラティズム”の概念』「思想」第692号