●スルフ sulh
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アラビア語で,和平・和解・合意を意味し,ふつうは示談の意であるが,イスラーム法上は相手との争いを断念ないしは平和的和解の契約を結ぶことを表すのに用いられる。これと対比して用いられるのがアンワで,強制または武力を意味する。後世のイスラーム法学者は,ある地方や都市がスルフによってイスラーム領に入ったか,アンワによって強制的に併合されたかで重要な区別をしている。スルフによる征服に応じた場合には,キリスト教徒やユダヤ教徒らは一定のジズヤの支払いなどの義務を課せられる代わりに,彼らの政治的自治・生命・財産・宗教などはそのまま認められる。また,所有地もダール=アッスルフと呼ばれ,そのまま所有することが認められる。しかしスルフに応ぜず,アンワによって征服されると,この保障は与えられず,異教徒の財産はイスラーム共同体の財産(ファイ)に組み込まれるか,戦利品(ガニーマ)として処されるとしている。実際には,土地柄や従来の制度に応じて征服地支配が行われたという説が有力である。