50音順    検 索

●スリットゴング

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 丸太に縦長の間隙をつくり,ここから内部をえぐって空洞にしたり,竹の側面に間隙をつくったりした音響器で,打楽器または信号器として用いられる。和名では“割れ目太鼓”“木鼓”と称する。長さはジャワ島の行商人用の25cmほどのものから,バヌアツ共和国の,神像を刻んで地面に直立固定してある3〜4mのものまでさまざまである。位置は,[1]地面に直接または架台を用い水平に置く,[2]片手で垂直または斜めに支える,[3]垂直に吊るす,[4]下部を地面に埋め直立させる,などがある。叩き方は通常1,2本の棒で腹部を打つが,なかにはタイ北部ラワ族のもののように木口を打つものや,中国南部ワ族のもののように,40cmほどの杯状のばちを垂直に用いて腹部を打つ例もある。いずれにせよ打つ部位によって音の高低に変化があるが,木製のものでは意図的に開口部の両唇の厚みに差異をつけ,音程にバラエティを与えたものがある。信号器として用いる場合には,単に音響を発するだけではなく,通信内容に対応するリズム=パターンがあらかじめ定められていたり,音の高低の組み合わせによって文章が綴られることがある。

【分布】中央アフリカのコンゴ周辺では信号器として用いられ,リレー式に通信される例が報告されている。西アフリカのセネガルではボンボロンと呼ばれ音楽に用いられる。中国南部の少数民族や東南アジアのマレー・インドネシアでは楽器・信号器両方に用いられ,カトゥカトゥ・クラントゥン・クルトゥック・トントン・レコップ・コホコール・トゥクトゥクなどと呼ばれる。バリ島のヒンドゥー寺院で用いられるものはクルクールと呼ばれ,低音の“男性”,高音の“女性”が対になっている場合が多い。フィリピンではコオリンタン・クラトゥン,パプア=ニューギニアではガラムット,バヌアツでは小型のものをタムタムと呼ぶ。南太平洋ではフィジー・トンガ・サモア・クック諸島・タヒチに分布し,ラリ・パテ・トエレなどの名称がある。とくにタヒチでは大小のスリット=ゴングと皮張り太鼓のアンサンブルで踊られるオテアという舞踊形式が有名である。中南米やカリブ海諸島にも分布するが,一部はアフリカからの伝播である。またわが国の禅寺などで見られる魚板も,中国伝来のスリット=ゴングである。